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なんとも言えない気持ちを胸に、職員室のある二階に向かう。
階段を登っている時に、二人組の女子が降りてきた。彼女らは楽しそうに話していたが、俺に気付いた途端、
「…」
と、黙ってしまった。
よく有るよね、コレ。気まずいよね、コレ。
「こんにちは」
取り敢えず会釈をして、俺は彼女らの隣を通った。彼女らも慌てた様に、返事をくれる。
俺が階段を登り終えた後、階段の下の方から、彼女らの小さな話し声が聞こえて来た。
「…ねぇ、今の人、誰かの親?若くない?」
「まさかぁ。年の離れた兄とかじゃないの?」
「だよね?と言うかさ、メッチャクチャ、マスク邪魔だったよね!取ってよって思ったもん!」
「うん!私もそう思った~!!」
最後の辺りは、黄色い声でほぼ叫んでいた。
「………兄か……。はぁー…」
よく言われるのだが、俺は若く見えるらしい。最近は二十代後半位に見える様で、よく街で、
『三十歳迄に結婚したいあなたへ』
といったパンフレットを渡される。
三十歳とか、もう八年前の話ですけど。結婚もしてますけど。
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