娘の近くに寄ると、気のせいか避けられます。

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「すいません、授業参観の名簿はどこですか?」 俺が声を掛けると、先生方は一斉にコチラを見た。 懐かしい感覚。職員室で「先生~」って呼ぶと、皆振り返ったよね。 その中でも、俺の一番近くの席に座っていた、小柄な女の先生が駆け足で来てくれた。多分、俺より5歳下位だろう。 「気付かなくてすいません~っ。今、出しますねっ」 どうやら、名簿を出し忘れていた様だ。その先生は近くの棚からファイルの様な物を取り出し、開いてから俺に渡して来た。 「名前のところに、丸をつけて下さい。あ、このペンでどうぞ」 先生自前のペン(注射器型)を借り、生徒の名前がクラス単位で分けられている中から彩音の名前を探しだし、丸をつけた。 「はい、終わりました」 ペンと名簿を先生に返すと、先生は名簿をチェックした。 「はい、結構です。次は名札を……お渡ししますので、もうしばらくお待ちください」 名札も出していないままだった様子。今度は棚の下から、菓子箱の大きさの箱を取り出してきた。 箱から出された、『学校関係者』と記された名札を受け取る。首から下げるタイプの名札だった。
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