娘が冷たいです。特に視線が。

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「父さん、明日の授業参観、来なくて良いからね」 彩音(アヤネ)が話し掛けて来た。彩音から進んで俺に話すのは、じつに四日振りだったりする。 五日前に、 「見てくれ!!彩音の写真集(タイトル:【彩音と一緒】)を作ってみたんだ!!勿論、父さんとのツーショット(合成)も沢山有るぞ!!」 と言ってお手製アルバムを広げて見せたら、無言で叩き潰された。俺が。 そんなこんなで、完全シカト状態だった彩音が話し掛けて来たものだから、俺のテンションはうなぎ登り。 「呪縛が!!無言と言う名の呪縛が今やっと解き放たれた!!お帰り彩音!!サヨナラ無言の彩音!!」 声の限りに叫んでから周りを見たら、すぐ傍のカウンター席のお客さんが引いてた。 仕事中なの忘れてた。 「ごゆっくりどうぞ~」 何事も無かったかの様に営業スマイルをそのお客さんに向けた後、すぐさまカウンターの前にいる彩音に視線を戻した。 「彩音、晩飯は何が食べたい?父さん何でも作るよ?」 一人お祭り状態の俺。 遠くの席から「すいませーん、コーヒーのおかわり下さーい」とか聞こえたけど、聞こえない。 お冷やでも飲んでろ。
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