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「はい、この話は終わり」、とばかりに彩音から視線を離し、コーヒーを先程の「おかわり」を要求したお客さんの元へ運ぶ準備をする。
彩音はその様子を眺めながらしばらく黙っていたが、
「…ハッキリ言っちゃうと、来ないで欲しい」
と、ハッキリしっかり聞こえる声で言い放った。
お決まりの、「ショックのあまり、手にしている物を床に落とす」を披露する俺。
今持っていたのが布巾(フキン)で本当に良かった。
前回の、
「父さんが近くに居る限り、私に平穏の時は訪れない」という発言の時は、熱いコーヒーを膝から被った。火傷とは関係無しに泣いた。
「…え?今…なんて?」
か細くだが、やっと声が出た。
「だから、父さんに来て欲しくな「ゴメン、やっぱり言わなくて良いわ」
自分で自分の首を絞める行動をとっていた。
また遠くの席から、「すいませーん!コーヒーのおかわりは!?待ってるんですけど!」とか聞こえて来た。
俺は思考力が著(いちじる)しく低下していた為、
「店を出てすぐに、自販機が有りますよ!120円です!」
と大声で返した。
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