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おかわりのお客さんは俺の返事に呆気(あっけ)に取られたのか、口を半開きにして「は?」という顔をしていた。
カウンター席のお客さんは肩を震わせて、こちらを見ないようにしている。笑ってるな。
俺はようやく正気に戻り、手元にある、先程準備したコーヒーを運ぼうとした。
が、そのコーヒーが無い。
そしてついさっきまで目の前に居た彩音も居ない。
「すいません、お客様。うちのマスターがご迷惑を。こちら、おかわりのコーヒーです。大変お待たせ致しました」
うちの彩音ちゃんは、おかわりのお客さんの所に居ました。コーヒーをカップに注いでいます。
つか、おかわりのお客さんが女の人だったからいいけれど、もし男だったなら、彩音にコーヒーを注がせた時点でそいつを抹殺です。なんて贅沢な。
最近、彩音は今まで以上に美しくなり、街を歩けばナンパの嵐です。しかし本人はド天然なので、
「最近、街を歩くたびに、知らない男の人に『今、暇?』って訊かれるんだけど。私、どんだけ暇人に見えるんだろう…」
とか言って、悩んでました。
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