another world

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  「いいよ……翔太。もう帰ろ」 オレの手を制すようにして遥が立ち上がった。 「遥。でも……」 「いいってば、私なら平気だから……。当たるも八卦、当たらぬも八卦ってね! 所詮無料で見て貰ったんだしさ。アリガトね、お爺さん」 遥が普段と変わらぬ明るい表情を見せた事でオレも冷静になり、老人を掴んでいた手をほどいた。 「わかったよ。遥がそう言うんなら……」 だが、その場を離れようとしたオレ達に老人は尚も言葉を続ける。 「すまんな。気分を害すつもりは無かったのだが……ただ、これだけは知っておいてくれ。転機が訪れた時、そっちの彼の協力も不可欠じゃ。それだけは忘れぬよう……」 「もういいから!」 老人の言葉を遮り、半分怒鳴るように言うと、オレは遥の手を引いてその場を立ち去った。  
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