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翌朝、二階にある自室で制服に着替えていると、オレを呼ぶ母親の声が聞こえてきた。
「翔太! 遥ちゃんのお母さんから電話よ。何か急ぎみたいだから早く下りて来なさい!」
(遥の母親? 何だろ?)
そう思って電話に出ると、少しだけ慌てた様子の遥の母親が言った。
「あ、翔ちゃん? さっき遥の部屋に行ったら、遥いないのよ……部活の朝練も無いって言ってたんだけど、こんなに朝早くからどこ行ったのかしらねぇ……あの子。翔ちゃん何か聞いてたり、心当たりとかってある?」
心当たりが無い……訳でもなかった。
昨日の帰り道、遥は占いを気にしてないと言って明るく振る舞ってはいたが、恐らく……。
「あぁ、あいつ体育祭の実行委員だから、その準備とかじゃないかな? 何かそんな事言ってたような気がするけど」
「あら。そうなの? わかった……じゃあ、翔ちゃん悪いけど学校に行ったらあの子に言っといてくれる? 心配するから何か言って行きなさいって」
「わかりました」
少し呑気な所がある遥の母親に心配させたくなくて、オレは当たり障りない嘘をついた。
(多分、あそこだ……)
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