69人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日の易はの、あながちでたらめという訳でも無いんじゃ……。実はお主は……いや、正確に言うとお嬢ちゃんを含めたお主ら二人は、特別な宿命を背負った人間なんじゃよ……使命と言ってもよいかの」
喋り始めた老人は、落ち着いた口調に戻っていた。
「使命……?」
「あぁ、そうじゃ。人類の存亡をかけて闘わなければならぬという大きな使命がな」
(いきなり何を訳わかんねぇ事を……)
突拍子もない老人の言葉に戸惑いつつも、遥の行方が気になったオレは黙って話を聞いた。
「お主も聞いた事ぐらいはあるじゃろ? 《アトランティス伝説》という言葉を……」
「アトランティス……伝説……?」
アトランティス伝説……確かに耳にした事ぐらいはある。
太古の昔、高度な文明を持ち繁栄と栄華を誇っていたが、世界の覇権を企んだ末、全能の神ゼウスの怒りに触れ海底に沈められたと言われている、古代文明アトランティス帝国。
その真偽については諸説様々だが、オレの認識としては古代ギリシャ時代の神話だと思っている。
当然、実在した文明だとは思ってなかったのだが……
「そのアトランティスが、遥が失踪した事と何か関係あるとでも言いてぇのか?」
失踪したとは言ってはいないが、老人の話し方や表情をみて、恐らく遥は何かとてつもない事に巻き込まれたんだと直感した。
最初のコメントを投稿しよう!