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老人は深く頷いて話を続けた。
「にわかに信じられんのも無理もないが、古代アトランティス帝国は実在していたのだよ。そして、神の所業かどうかは定かではないが、海底深く沈んでしまったのも事実じゃ……」
確かに、にわかには信じがたい話だ。
「その後、帝国は滅びたとされておるが、実際は今も尚、存在しておる」
「今も? 海の中でか?」
足を組んで頬杖をつきながら、更に老人の話を聞き続ける。
「うむ。実の所、海底かどうかは定かでないし、現代人……つまり現在、地上で生きている人間には全く把握出来ない場所にある様じゃ。そして、ほとんどの人間にはその存在すら知られていない。まぁ、この地球(ほし)の何処かにあるのは間違いないがの」
何故そう思ったのかは解らないが、オレはこの胡散臭い老人の、にわかに信じがたい話を信じ始めていた。
信じなければ、遥に辿り着く為の情報は皆無に等しい、と無意識に思ったからかも知れない。
「その存在を知っているのは、全人類の中でもごく僅かな者だけじゃ。そしてその者達の間では、その世界を異空間(アナザーワールド)と呼び、古代アトランティス人の子孫……つまり、その住人達を異界人と呼んでおる」
(アナザー……ワールド?)
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