another world

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  ふと、ある疑問に気付き、目を開いて老人に聞いてみる。 「なぁ、じいさん。オレが助けに行く行かないはともかくとして、異界人達はどうやって、遥さらってったんだ? ってか、把握すら出来てない場所にどうやって行くんだよ」 「儂が……護り人(もりびと)と呼ばれる儂がお主を向こうの世界へ送る事が出来るんじゃよ……」 「護り人?」 怪訝そうな顔をしたオレを尻目に、老人は話を続ける。 「あぁ、そうじゃ。そもそも儂ら護り人の一族はの、遥か昔より存在する一族で、空間軸の歪みにより生まれた異空間と地上の連結点……まぁ簡単に言えば、こちらの世界と向こうの世界を繋ぐトンネルみたいな物じゃな。そのトンネルの入り口とも呼べる《空間門》という場所があるのじゃが、その門番的存在として、生きてきたのじゃ」 やばい……また頭が混乱しそうだ。 「地中深く潜り、更に発展を続けた異界人達は、祖先の意志を引き継ぎ、地上世界の制覇を虎視眈々と目論み続けているのだ……空間門を使ってな。それを我が一族が結界を張り、永きに渡り防ぎ続けておる」 重大な使命を背負い、人知れず人類を守り続けてきた自分の一族に誇りを持っているという事が、老人の表情から強く感じられた。 「でもよ、遥が向こうに連れ去られたって事は、連中がその空間門とやらを行き来するのを防げなかった……って事だよな?」 そう聞くと、老人は少し目を伏せ、更に頭を下げて答える。 「その事に関しては色々と理由があるのじゃが、平たく言えばその通り護り人としての儂の責じゃ。全く持って面目ない……この通りじゃ、許してやってくれ」 そう、潔く謝られては、護り人としての責任を問いただす気も失せる。 もっとも、最初から責めるつもりもないが……。  
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