一敗地に塗れるが如く

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  鳥居をくぐり、光の中を走り続ける。 三百六十度まばゆい光に包まれ、匂いも、音も、地を蹴る足の感覚すらない。そんな中をただ闇雲に奥へ奥へと駈けて行く。 視覚・聴覚・嗅覚・触覚の四感を奪われたオレは、いつしか時間に対する感覚すら無くなって行く。 もう、何時間も走ってるようにも、まだ数分しか走っていないようにも感じる。 今まで生きてきた地上の世界では、体感することのなかった感覚と、初めて足を踏み入れた空間への戸惑いは、本能的にこのままここにいる事を身体が危険だと判断し、信号を発する。 極度の頭痛に襲われ、限界寸前まで達した頃、周囲の光はその輝きを徐々に失って行き、表面がすべすべした岩肌の洞窟がその姿を現す頃には頭痛も嘘のように治まっていった。 やがてその洞窟を進み、明かりが漏れている方へと歩いて行くと、外界に出る事が出来た。 その出口は、崖の中腹のような場所にあった為、外界……つまりはアナザーワールドが一望出来る事となる。 「ここが……アナザーワールド……」 呟いたオレの眼下に広がるアナザーワールドは、予想していた世界とは全く違っていた。 まずは地上と同じように広がる大空。 地底、もしくは海底をイメージしてたオレは、アナザーワールドに空があるなんて思ってもいなかった。 とはいえ、茶色というかアイボリーというか……とにかく色だけは、オレが今まで生きていた世界には存在しないような色をしていたが……。  
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