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「待ちたまえ……。そこの少年よ」
潰れたコンビニの駐車場を通り、フェンスを乗り越えた所で声をかけられた。
少し遅く家を出た時はフェンスを乗り越えて、公園を突っ切り学校へ行く。何故ならそれが最短距離だからだ。
「オレっすか?」
警官にでも見つかって注意されるかと思い、申し訳なさそうに振り返るオレの視線の先には、もみ上げから顎にかけてサンタクロースの様な白髭を蓄えた易者の老人が座っていた。
「お主、珍しい相をしておるのぅ……ちょっと、こっちに来てここに座りなさい。」
(は!? 意味わかんねぇんだケド……)
警官じゃなかった事に安心してフェンスから飛び降りたオレは、易者のジジイの側に歩み寄る……
……はずがなく、学校がある反対方向へと走りながら叫ぶ。
「わりぃな! ジジイのたわごとに朝から付き合うほど暇じゃないんだわ。今時の高校生は!」
――その場に取り残された形となった易者の老人は、遠ざかる少年をしばらく眺めながらボソッと呟いた。
「ふふ……ようやく見つけたわ」
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