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結局、色んな店に付き合わされた挙げ句、雑貨屋でアクセサリーをひとつ買っただけの遥と家路についたのは、陽も沈み始めた夕暮れ時だった。
「ったく……。女ってのはどうしてこう、長い買い物になるかなぁ……」
頭の後ろで腕を組み、鞄をぶら下げてぶつぶつ文句を言いながら歩く。
「文句言わないの。約束通りマック奢ってあげたでしょ」
「にしても、長すぎじゃね? 買うつもりもねぇのにあっちこっちよ……」
「そうゆうモンなの! 女の子は! それに、いずれ翔太も誰かと結婚して所帯持つんだから、その予行練習だと思ったらいいじゃん」
「予行練習ねぇ……」
確かにそう言われればそんな気もするが、何だか上手くはぐらかされた感じだ。
そんなやりとりをしながら歩いていると、道端で椅子に腰掛けた老人がこっちを見ている事に気付く。
見覚えのあるその老人は、そう……紛れもなく朝の易者だった。
「ねぇ……翔太。あれってもしかして……?」
「あぁ。さっき話した朝のジジイだ」
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