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茶色いタイルの壁にツタが絡まり、喫茶店というより珈琲屋という雰囲気の店だ。入り口の所に立つと、中から煎れ立ての様な珈琲の香りがする。
拳聖は5時55分を確認して入った。店内を見渡す、少し茶色の電灯が雰囲気を出している。3~4人座れるカウンター席と、ボックス席が6席のこんじまりした店だ。カウンター席に1人のお客さんがいて、ボックス席にはいない。マスターらしき人物と話をしていた女性のお客さんが拳聖に気付き声をかけた。
「お久しぶりです。渡邊さん」
「君は…大塚さん?」
拳聖は驚いた。
まだ少し幼さが残るとはいえ、2年前にはなかった大人の女性を感じさせる魅力が出ていた。
拳聖はマスターに話が聞こえない様な席を探したが、そこは接客業のプロだ、奥の席に案内してくれた。ホットコーヒーを頼み、改めて麗を見た。まるで知らない人と会っているみたいに緊張する。
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