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「渡邊さん、少し痩せました?」
「え?あ、どうかなぁ、自分では分からないけれど…」
拳聖は以前、麗に抱いていた印象とあまりに変わっているので戸惑ってしまった。以前はあまり人とは喋らずに一歩下がった所にいる印象を受けていたのだが、今は大人の魅力が眩しい。
だからこそ、これ以上の危険に巻き込むべきではないと思った。
「あ、そういえば、栗原 真美はどうしているだろうか?」
拳聖はタイミングを計りながら話をしている。麗は落ち着いた様子で紅茶を飲みながら、
「栗原さんは今、結婚して篠塚姓になってるわ、学校の教師の人って言っていたわ」
「そうか!それはいい事だ」
拳聖は笑顔で頷きながら言った。
「ええ、篠塚さんにかかってた呪いは解けた。でも、天城さんにかかった呪いは解けなかった。」
「ああ、様するに天城 麻里の呪いではなく、木下 千紗の呪いという事だろう。」
拳聖は珈琲を飲みながら続ける。
「電話でも言ったが、君はもう関わらない方がいい。」
麗は笑顔を少し曇らしながら、じっと拳聖を見つめる。
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