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翌日、拳聖は通学途中の学生を待つ為、太垣工業高校より少し離れた所に車を止めた。
そして、歩いて来る学生に『噂』の話を聞いた。
「ああ、それは今年入った1年の女子がどうとか言っていたような」
「何かそんな事聞いた気がする」
だいたい麗の調べた事と同じだ。しかし、それが原因でイジメに発展していない事は良かったと拳聖は思った。しかし、特に理由があってそういう噂が広まった訳ではなさそうなので、落胆もした。
1時間位、通りすがりの学生を捕まえては話を聞いたが、皆同じ様な答えばかりだった。しかたがないので諦めようとした時、5人の男子生徒に呼び止められた。
「おっさん、あんた何を調べてんだ?これ以上変な噂を広めたらただじゃすまねーぞ!」
先頭で喋っていた学生がいきなり拳聖に殴りかかって来た。拳聖は軽くかわして、腕をひねった。
「痛ててて!」
「かかって来る前に人の話を聞いたらどうなんだ?」
「この野郎!」
他の4人がかかって来た。しかし、空手で優勝する程の実力を持つ拳聖に勝てる筈もなく。撫でる程度の力で軽くあしらった。
「人の話を聞く気になったか?」
「は…はい!」
「すいませんでした!」
「よし、俺は渡邊 拳聖。訳があって、尾野居の事件を調べている。」
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