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葵君に見つかっちゃった!
『……っ!』
立ち上がって、葵君の横を走り抜けようとした。
パシッ
『ちょっ…!』
葵君に腕をつかまれた。
「…待って、先輩」
切なそうに、葵君があたしを見つめる。
…~~~っ!
どっどうしよう!
『…手、離して…』
下を向いて、葵君が離してくれるのを待った。
「…いやだ」
…えっ?
「今離したら…先輩逃げんじゃん…」
『……』
図星…。
沈黙が続く。
葵君に掴まれてる所が、熱を持ってるみたいに熱い。
『…えと』
沈黙に耐えきれず、あたしから口を開いた。
『…逃げないから…約束するから…』
「……」
パッと手が離された。
腕には、まだ葵君に掴まれた感じが残ってる。
あたしたちは無言で、教室のイスに座った。
あたしは葵君から少し離れた所に腰を下ろした。
「…なんでそんな離れてるんすか?」
『べっ別に…』
「……」
また沈黙が続く。
校庭で体育をしている生徒たちの声が、かすかに聞こえる。
…うわ~ん!
気まずいよぉ…。
「…先輩」
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