黒髪の人形

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「樹菜おはよーって、なんか暗くない?」 「そ・そう? そんなことないよ~」 ――ドサッ―― 自分の机にリュックを置いた。 「はぁ~」 ――まったく、気味が悪かった。 「まぁ、捨てたからどうにか大丈夫かな…」 「あれぇ~何これ。 可愛いね」 「え?」 見ると、今朝捨てたはずの人形と同じデザインのマスコットがリュックに付いていた。 「うそ! こんなの知らないっ あげる!!」 「ほんとに? もらっちゃうよー」 ――でも、やっぱりこんな不吉なものを陽子にあげられない。 「…っこ・これよくないものだからっ」 私はリュックからそれをとり、窓の外に投げた。 「え!? 樹菜大丈夫? いつもならそんなことしないのに…顔色悪いよ??」 「大丈夫!」 私は笑ってごまかした。 しかし、捨てた人形を見ることができなかった。 ――こっちを向いて笑っている気がした。
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