40.ずっと、傍にいて

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…まだ言いかけている途中で 恭平は、私の体を力強く抱き締めた。 それは何かから守るように あるいは、今まで離れていた距離を埋めるように。 どうしてこんなにも安心できるのだろう。 恭平の腕の中は、いつだってあたたかい……。 「嘘だろ…? お前は今でも、俺の事を大切に思ってくれるのか…?」 恭平の大きな手はこんなに震えて…。 今、どんな表情をしているの? 「嘘じゃ…嘘じゃないよ。 ごめんね、私ずっと恭平のこと傷つけてきたよね」 そう言うと恭平はそっと腕の力を緩めた。 私の両肩に手を当て、その表情はとても切なくて。 私はそのまま、背の高い恭平の目を見つめていた。 「でも、お前は… お前は、高岡の事が好きなんだろ…?」 恭平はそう言うと、私からまた目を逸らした。 少し俯いて、私の両肩を掴む手に少し力が入る。 だめ…また、涙が溢れそう。 だけど、言わなきゃ。 伝えなきゃ。 そのために、あなたに逢いに来たの。 ずってずっと、心に閉ざしていた想い。 決して開いてはいけないと固く鍵を閉ざした、パンドラの匣。 大丈夫。今なら開いても、解放しても、きっとあなたを守れる。 あのときより、私は少しだけ強くなれたから。 「うん…。私は、昴也さんと出逢って、昴也さんを好きになった。 その気持ちに嘘はないの…」 「……っ」 恭平の表情がまた切なくなっていく。 私は震えるこの手で、そっと恭平の頬に触れた。
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