40.ずっと、傍にいて

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「…っく…恭平ぇ…」 恭平は止まらない涙にキスを寄せて、笑っていた。 「ここまで来てくれたんだよな、1人で。 本当にありがとうな」 そう言って何度も髪を撫でる。 暗かった夜に、いつのまにか少しずつ光が射して 空は白く霞み、海に反射して思わず目を細めた。 ──夜明けだ。 あたたかい光……暁。 それは私の心の哀しみを解いていくように、溶かしていく。 「…高岡に奪られないように、俺も頑張らないとな」 「え?」 小さく呟いたその言葉が聞き取れなくて、恭平を見上げた。 でも恭平は私の髪を撫でたまま、優しく微笑む。 「こんなに泣き虫な娘に育って、おじさんもおばさんも呆れてるぞ?」 「……っ」 「嘘。泣かせてるのは俺だもんな。 こんな大切な娘を泣かせて、きっと今頃怒ってるよ」 恭平は優しく笑って、涙を拭ってくれた。 「今も……大切に想ってくれてるかな」 本当に逢いたい人には、もう逢えない。 星と月が輝く夜にしか…。 そう思って少し俯くと、恭平は下に置いていたボストンバックから、1つの白い封筒を私に差し出す。 「なに…?これ」 「ある人から預かってきた。 ──お前宛ての、この世で一番のラブレターだよ」 .
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