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「──ふ……うぅ…っ」
「本当に、下手くそなラブレターだよな。
お前の母親らしいよ」
涙が溢れて止まらない私を、恭平はずっと抱き締めてくれた。
「こんな風に…っ手紙に残してくれてたなんて、私何も知らな……っ」
「うん、俺もだよ。
それがお前宛ての、最初で最後のラブレターだ。
おじさんもおばさんも、毎日言葉や仕草で思いを伝えてたから」
そう言って、優しく髪を撫でてくれる。
そうだ…私はずっと、お父さんとお母さんからたくさんの愛情を受けていたの。
お父さんは私の髪を撫でて
お母さんは、ぎゅっと抱き締めてくれた。
そんな幸せの日々の中には、いつだって“笑顔”が溢れていた。
「ひ…っく……ぅ…っ」
ずっと涙が止まらない。
もう何度も何度も泣いてきたっていうのに。
恭平はずっと笑ってた。
でも、もしかしたら一緒に泣いてくれたのかもしれない。
私を優しく包む腕は、掌は、少しだけ震えていたから。
「海……お前は1人じゃない。
おじさんがいて、おばさんがいて、俺がいる。
ずっとずっと、傍にいる。
──愛してるよ、海」
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