行く旅の先へ

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「本当に行くの?恭ちゃん」 持っている物の中で、俺は一番でかいボストンバックをクローゼットの中から引っ張り出し、入る分だけの服を詰め込んだ。 財布、時計、着替え。洗面と風呂道具。 智之にバレないように、携帯は切って置いていく。 「ほんの数日だろ?」 「…それが数日出かける人の荷物かなぁ」 智之はあぐらを掻いてテーブルにベッタリ顔をつけながら、せっせと動く俺を見ていた。 「部活まで休んでさぁ」 そう言って、棚の上にあるバスケットボールに目を向ける。 その隣には、海からもらった3つのビーチマネーと、あと1回でも腕につけたら確実に切れてしまうであろう、青いミサンガ。 そして、“あの”2人の写真。 だけどこれは持っていく。 赤と白と黒が絡まったまだ新しいミサンガに、いつも左耳につけている大切なピアス。 「俺もう行くから。お前も出ろよ」 ボストンバックを肩に下げ、まだ納得のいかない智之に家を出るよう促した。 「へーい」 つまらなそうに智之が重い腰を上げる。 「別に一生の別れじゃねぇだろ。気持ち悪い奴だな」 「でもさぁ、恭ちゃん」 智之はでかいスニーカーで地面に落ちてる小さな石を蹴る。 「……戻ったら1on1やるか。 俺に勝ったら、結花こっちに呼び出してやるよ」 「マジ!? うんうん、恭ちゃん早く戻ってきてね♪」
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