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…本当に変な奴。
結花の話になればコロッと機嫌良くなって。
俺は智之に適当に別れを告げ、この街を後にした。
行き先は…今だに不明。
もちろん数日で帰るつもりもなかったけれど、ただフラッと旅に出たくなったんだ。
「ねぇねぇ君、どこ行くの!?
良かったら私達と遊ばない?」
その甲高い声と共に、俺は行く道を遮られる。
女が3人。
派手な化粧に、服に、髪型。
俺が一番近づきたくないタイプだ。
「いくつ?大学生?
背の高い短髪の男って、私超好み~♪」
「私も私もっ!ねぇ、どこに行こうとしてたの?」
「わぁ、すごく筋肉あるんだね。
何かスポーツでも…」
《バッ》
「……触んな」
俺は女達を睨みつけ、ポケットに手を突っ込んで歩き出した。
「かっこいい~!」
「悪ぶってる感じがイイ!!」
「!?」
俺は後ろにのけ反りそうになって、慌てて体勢を整えた。
振り切ったつもりなのに、後ろから女が3人がかりで俺のバックを引っ張っていた。
「ねぇねぇ、私達と遊ぼう♪」
本当に苦手だ。こんなに化粧も濃くて、まるで違う人種だ。
その後、どうやって振り払ったか覚えていない。
俺の事だから、すげぇ冷たい言葉でも言ったんだろうけど。
気が付くと俺は、新幹線の中にいた。
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