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何でここに来てまで
俺は、海の事を考えているのだろう。
海を千架から助けだした後、俺は1つの事を決心していたんだ。
もう、この恋を諦めようと。
今更友達に戻れる自信なんてなかった。
いや…最初から、“友達”だなんて思っていなかった。
少なくとも、俺は。
でもこの報われない恋を続けたって…
それに、あいつには高岡の方がお似合いじゃねぇか。
《ガタン…ガタン》
上下に、左右に電車が揺れる。
新幹線を降りてから、俺は適当に在来線に乗り換えた。
またもや、行き先は不明。
日はもう傾き始めていた。
車両にも、人はほとんどいなくて。
乗り込む人も少なく、時々車掌が行き来する以外はシンと静まり返っている。
俺は、次に止まった駅で降りた。
知らない地名。
新幹線を降りてからどのくらい移動してきたのかはわからなかったけれど、随分遠い所に来たような気がする。
俺は駅を出て、ただまっすぐに歩き続けた。
時計は、午後4時を差していた。
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