817人が本棚に入れています
本棚に追加
《ドンッ》
「うわっ」
またも、後ろから小さな衝撃を受ける。
声を上げたその人物はまだ子どもで、転びそうになりながらも俺の横で何とか体勢を整えた。
「悪い、大丈夫か?」
その声に顔を上げたのは男の子だった。
まだ小学校低学年くらいか。
「ううん、僕が悪かったんだ。よそ見して走ってたから。
…兄ちゃん、よそから来たの?」
男の子は俺の目をじっと見る。
「あぁ…よくわかったな」
「だってこの辺で見ないもん!そんな茶色い髪も!」
そう言って俺の髪を指差す。
嬉しそうに、目をキラキラ輝かせながら。
「ははっ。それもそうだな」
俺は男の子の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「お前、名前何て言うんだ?」
「カイト!かっこいい名前でしょ?
“海の都”って書くんだ!」
「……!」
男の子は嬉しそうにニッと笑った。
「兄ちゃん旅人なの?
だったら僕の家に泊まりにきなよ!!」
最初のコメントを投稿しよう!