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「…うまい」
「でしょ!?ここの魚は新鮮なんだ!」
夕食中、海都は嬉しそうに俺を見上げていた。
「海都!お兄さん困らせちゃダメでしょ!
本当にごめんなさいね」
「いえ、俺は構いませんが…
むしろいてくれた方が」
「本当!?兄ちゃん、ごはん終わったらアイス食べよう!
僕用意してくるね!」
そう言って海都はキッチンへ走って行った。
俺の他にも2組程泊まりに来ているらしいが、海や星空を鑑賞するために、すでに夕食を摂って出かけたらしい。
「本当にすみませんね。
よその土地から若い人が来るのは珍しいので、あの子も嬉しかったみたいで」
俺にそう言いながら、母親は海都を見る。
海都はサーバーで一生懸命アイスを掬っている所だった。
「素直な子ですね。…少し、知り合いに似てます」
「あんなに小さくても、小学3年生なんですよ?
いっぱい食べてるのに…」
「今から伸びるからいいんだよ!!」
海都は形がいびつになってしまったアイスを器に乗せて俺の所に戻ってきた。
俺は海都の頭をくしゃっとしながら、その器を受け取る。
「サンキュ。
俺も、お前の頃はクラスでも背が低い方だったよ」
「本当!?僕も兄ちゃんみたいに大きくなれる!?」
「なれるよ。毎日ジャンプしてれば」
冗談で言ったつもりだったけど、海都は必死にジャンプをし始めた。
「ははっ。好きな娘の身長、越したいんだろ?」
「え…!何で?兄ちゃん、何でわかるの!?」
ほら、やっぱり。
手に取るようにわかるよ。
こんな所で会えるとは思わなかった。
あいつに…海にそっくりな人間に。
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