1.入学式

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「私、日下部美緒(クサカベ ミオ)。よろしくね!」 「芹沢海です。こちらこそよろしくね」 隣同士で席に座る。 …よかった、早速友達ができた。 式の最中、私はぼんやり午後のオリエンテーションのことばかり考えていた。 「ねぇ海、サークルとか部活、何に入るか決めてる?」 美緒が声をひそめて聞く。 「あ、私は入らないつもりなの」 「そうなんだ。…あっ、このあと盛大な勧誘あるよ!外は戦場だよぉ」 「え?」 ─…会場のアナウンスが、私たちの会話を遮る。 《それでは次、文学部の皆さん移動してください。 13時に文学部1号館でオリエンテーションです》 アナウンスを聞くと、みんな一斉に会場の外に向かう。 「外で部活勧誘してんのよ。戦場だからね、私から離れないでね」 美緒の言葉通り、いやそれ以上に会場の外は人、人、人。びっくりしすぎて言葉が出ない。 「行くよ!」 美緒に引っぱられて会場を出る。
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