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「私、日下部美緒(クサカベ ミオ)。よろしくね!」
「芹沢海です。こちらこそよろしくね」
隣同士で席に座る。
…よかった、早速友達ができた。
式の最中、私はぼんやり午後のオリエンテーションのことばかり考えていた。
「ねぇ海、サークルとか部活、何に入るか決めてる?」
美緒が声をひそめて聞く。
「あ、私は入らないつもりなの」
「そうなんだ。…あっ、このあと盛大な勧誘あるよ!外は戦場だよぉ」
「え?」
─…会場のアナウンスが、私たちの会話を遮る。
《それでは次、文学部の皆さん移動してください。
13時に文学部1号館でオリエンテーションです》
アナウンスを聞くと、みんな一斉に会場の外に向かう。
「外で部活勧誘してんのよ。戦場だからね、私から離れないでね」
美緒の言葉通り、いやそれ以上に会場の外は人、人、人。びっくりしすぎて言葉が出ない。
「行くよ!」
美緒に引っぱられて会場を出る。
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