序章

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「わかっている」 それでも灯哉は迷い無く告げる。 「ただ…この気持ちを伝えたい。叶わなくてもいいから…」 「ですが…」 苦しそうに言葉を続ける灯哉に向かって智が言葉を続けようとしたその時…今まで黙っていた刃がいきなり言葉を発する。 「よっしゃ。自分が調べてきたろ」 刃の言葉に灯哉は驚いて…そして智が何かを言いたそうに刃を見るが、それを制するように刃は言葉を続ける。 「これはお庭番としてやない。灯哉の友人としてやることや。その間、仕事は暇(いとま)をもらうぞ?それなら智も文句は無いよな」 「刃…ありがとう」 「椿姫と桜姫はどうするつもりだ?」 礼を言う灯哉の横で智が刃に問いかけると刃は手をひらひらさせながら笑ってこたえる。 「あいつ等はもうとっくに一人前やよ。自分がおらんくても平気や。って訳でちぃと行ってくるわ」 そう言うとスゥッと消えるように姿を消す。 そうなると智ももう何も言うことは出来なかった。
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