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その後の刃から発せられた言葉は…予想していたものの灯哉には衝撃的なものであった。
「彼女…いや彼女等は人間じゃない」
「あやかし…と言うやつか?」
「あぁ」
僅かな沈黙が周囲を包む。
あまりにも残酷な現実に言葉を失う灯哉…人とあやかし…決して交わることの無い現実。
あの日以来、彼女の姿が頭から離れることがなかった。
目を開けば彼女の姿を探し、目を閉じれば瞼に彼女が浮かんだ…それなのに…
「少し…一人にしてくれないか?」
灯哉が二人にそう告げると二人は何も言うこともなく腰をあげて灯哉の自室を後にする。
一人になった灯哉は窓の外に視線を向けると誰もいない部屋でぽつりと漏らす。
「私は…どうすればいいのだろうか…」
誰も答えることのない問いかけが静かに消える。
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