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「自分等、そんなとこおらんと出といで」
ガサガサ…
刃に声をかけられた二人は茂みから出て来る。
「ありゃ…ばれてましたか?」
「ばれてたんだ…」
「まだまだやなぁ…で、どうしたんや?」
刃が問いかける。
「刃兄が帰ったって聞いたからここかなぁ?って思ったんですよ」
「刃ちゃんの日課だもんね」
「ん~」
二人に言われて刃はポリポリと頭をかく。
確かに刃は時間が出来るとこの場所に来て鍛練するのが日課になっていた…しかし、そういう面を見られるのが嫌いな刃は誰にも言わず、智以外には知られてなかったはずなのだが…付き合いも長く勘のいい二人には気付かれていたことを知って少し気恥ずかしいような気持ちになる。
「でっでっ、刃ちゃんは真琴さんと何の話をしてたの?」
興味津々と言った感じで聞いてくる桜姫に刃はごまかすチャンスが来た。と感じたのかいつもよりさらにおどけた口調で話す。
「甘~い男女の密会をあれこれ詮索したあかんよ」
「え~気になるよぅ」
刃は上目遣いで見上げる桜姫の頭をあやすように撫でながら椿姫に声をかける。
「で、本題はどうしたんや?」
そう言われて椿姫は思い出したかのように驚いて話し始める。
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