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「そうですか…」
灯哉の言葉を智は頭の中で反芻しながら頷く。
顔をあげた時の智の表情に灯哉が驚く。
「なんで…笑ってるんだ?」
そう、顔をあげた智の表情は笑顔であった。
「いや…失礼。決めたなら早急に準備を進めましょう」
智はそう言うとスッと立ち上がり部屋を出るとすぐにお庭番達を集めてそれぞれに準備をするように告げる。
「なんだか嬉しそうですね」
それぞれに指示をする智を見た京樺が智に尋ねると智はそれを認めるように頷いて視線を外に向ける。
「あぁ…嬉しいな。お庭番首領としては失格かもしれないが…友としてな…」
「でも…刃さんが…」
城主であり友でもある灯哉が固めた男としての決断に喜びを示す智に頷きながらも京樺は不安を口にする。
その不安はやはり連絡を絶った刃のことであった。
「心配するな。刃はそう簡単に死んだりはしない」
智がはっきりとそう告げると京樺の後ろからも声が届く。
「京樺姉、そうだよ。刃兄はそんなに弱くなんてないって」
「そうそう。刃ちゃんは殺しても死なないよ」
当たり前の事、そういうように告げる二人に京樺も少しだけ安心したように頷いて準備に取り掛かる。
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