序章

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つい数日前まで降り続いていた雪も降り止み、空からは少し暖かい春の陽射しが届き始める頃、城主である灯哉(とうや)がお庭番を呼んで話をはじめる。 「すっかりと雪も降り止んで暖かくなって来たことだし、みんなで梅でも見に行きたいのだが…どうだろうか?」 一国の城主として普通に考えるとおかしな発言ではあるが、灯哉は幼い頃からお庭番を遊び相手として育ったためにこんな関係が成り立っていた。 「まぁ…たまの息抜きには悪くないかも知れませんが…あまり関心出来ることではありませんよ」 そんな城主の発言にお庭番達もみんな好意的な反応を示す中、お庭番首領である智(とも)が少し苦い表情で灯哉に告げる。 その直後… 「智。そんな固く言うこともないんちゃうかな?何かあれば自分等が守ればいいんやからさ」 智の隣にいた男が智に向かって笑いながら智を制する。 「刃(じん)…簡単に言うが…」 「なぁ、灯哉も行きたいんやろ?で、周りも行きたいやろ?…なら認めてやるのも首領の仕事っちゅうやっちゃ」 智の言葉を途中で遮りながら灯哉と智以外のお庭番に問い掛けて頷くのを確認した刃が智に言うと、灯哉も周囲のお庭番もみんなが視線を智に送る。
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