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それは城に戻ってからも変わることはなかった。
時間があれば窓からあの梅の木のある山を見つめている灯哉…流石に周囲もまずいと思い始める頃…灯哉は智と刃を自室に呼んだ。
そして、二人が揃うと灯哉はおもむろに二人に向かって頭を下げる。
「なっ…そのようなことおやめ下さい…」
慌てて止める智。
そして刃もまた…
「そういうの…やめようや。俺等の仲やろ?頼みがあるなら言いぃや」
智と言葉こそ違うがやはり止める。
「すまない」
灯哉はそう言うと頭をあげて二人に向かって話しはじめる。
「単刀直入に言うと…あの女性を捜して欲しい」
灯哉の言葉をわかっていたように二人は頷くと智が灯哉に向かって話す。
「捜して…どうするおつもりですか?見たところ子供もいたみたいですが…」
確かに…あの少女は女性によく似ていた。肌の白さもだが…なにより纏っている空気が二人は同じものだった。
あの二人が親子であるということに疑いは無く、つまり夫となる人間もいるであろうと推測された。
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