美雨

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 想定外で突然背後から声をかけられて思わず両肩が耳の位置まで上がって固まる。  高すぎず、低すぎず、聞きやすい声にゆっくり振り返る。  振り返って驚いた。  長身に完璧なまでにフィットした濃いネイビーのスーツにブルーとホワイトのレジメンタルタイを びしり と着こなした端正な顔立ちの男性が真後に立っている。  日本人の黒目より薄がかった茶色の角膜に綺麗に行方を伸ばしてる長い睫。  小さな顔に彫りの深い高い鼻に長い手足。  形の良い額の少し右側で別れた前髪が耳に届く手前で少しうねりを魅せる、僅かな天然のクリームを放つクール系ミディアムショートのスタイルに、隙や欠点のない独特の空気を纏う。
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