美雨

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 いつもならこんな時は少しの開放感が迎え入れてくれるけれど、今日ばかりは入社当時の新鮮や緊張感を伴う。  そしていざ会社の前に立つと、やはり『 新鮮』のボーダーは幅跳びみたいに軽々と越え、心臓が高鳴った。  今日から秘書課という独特な空間から全く違う未知の世界に飛び込むのだ。  気持ちを落ち着けようと毎週通うヨガで身に付けた体の流動法を思い出す。目を瞑りピンクの綺麗で可愛い塊をイメージして鼻から体内に取り込み循環させる。そのまま口から息を吐いて一度空の蒼を見上げて笑顔の練習。にやり。 「失礼ですが」
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