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夏樹と一緒に、散歩にでかけてから十分がたったかな。
もう春とはいえ、北海道だから夜は寒い。半そでじゃきついほどだ。
「ねぇ武ちゃん。どこか行きたい場所ある?」
行きたい場所……ねぇ。特にないんだよな。
「俺はないけど。夏樹もないのか?」
頷いたことから考えれば、夏樹もないんだな。
しょうがない。行きたい場所考えるか。
何所がいいかな?少し歩いて、デパートでも行くか?いや、金持ってきてないしな。
じゃあ金がかからない場所で、楽しい場所。
…………。
あっ、あるじゃないか。あそこなら夏樹も満足だろう。
「夏樹。俺行きたい場所あった。そこに行ってもいいか?」
「うん。いいけど、どこなの?」
「内緒だ。楽しみにしてろ」
不思議そうな顔をするな。どうせ、すぐわかるんだからさ。
「ほらっ、早く行こうぜ」
俺は夏樹の手を取って走り出した。
「きゃあ!武ちゃんそんなに急がなくてもいいんじゃない?」
きゃあ、とか可愛い声だすじゃないか。
「駄目駄目。急がなくちゃ意味がなくなっちまうからな」
それに大丈夫だろ。夏樹は俺より足速いからな。
少し走っていると、予想通り、俺の横には夏樹が平然と走っている。
やっぱり、ちょっとだけプライドが傷つくかな?
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