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足を洗い終わった俺は、少々不安を抱きながらも居間に戻った。すると不機嫌な顔をした夏樹がテーブルにカレーを並べている。
やっべー、すっかり忘れてた。やっぱりフルーツとか全部入れたのかな?
「な、なぁ夏樹。あの食材全部入れたのか?」
俺はカレーの前に座りながら
恐る恐る夏樹に聞いてみた。
しかし夏樹は俺の言葉をシカトして、自分の分のカレーを運んでいる。
夏樹まだ怒ってるのかよ。こりゃあしばらく話しかけない方がいいな。さてとカレーでも食べるか。
そう思った俺は初めてカレーを見る。いやこれは最早カレーとは言えない全く別の料理になっている。
一番嫌なのが色だ。何か紫ぽい感じの色になっているな。そしてこの匂い。何かおかしい……そうカレーの良い匂いが全くしない。その変りに色んなフルーツのミックスジュースのような匂いがする。
俺がこの料理?を食べようかどうか迷っていると、向かい側から視線が来ている事に気づいた。
顔をあげると夏樹が早く食べなさいよ変態が、的な目で俺を見ている。
む……無視だ。こんなの食ったら腹こわす。でも視線が痛い。
えーい。こうなったらもうヤケだ。
「いただきます」
俺は息を止めて最初の一口を入れた。
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