11790人が本棚に入れています
本棚に追加
/433ページ
カレーを食い終わった俺は夏樹を見ている。いや正確には夏樹のカレーを見ているだな。
何故かって?それはな……全然減ってないんだよ。一口もカレーを食べないで、ずっと俺が食ってるのを見てただけなんだよ。
何でだろ?ちょっと聞いてみるか。
「なぁ夏樹。何でカレー食わないんだ?」
俺がそう聞くと、今まで黙って座っていた夏樹が喋り出した。
「うーん……何か頭がボーッとして食欲が無いんだよね」
ふーん。いつも食欲旺盛な夏樹からは信じられない言葉だな。つーかその症状風邪じゃないのか?
そう思った俺は立ち上がって、救急箱から体温計を取り出して夏樹に渡した。
「ん?何これ」
「お前は目が悪いのか?体温計だろうが」
「いや、そう言うことじゃなくてさ何で私にくれたの?」
は?こいつは風邪の症状がわからないのか?
「今夏樹が言った症状はな、風邪の可能性があるから、それで熱を計ってみろって事だ」
俺がそう言っても夏樹はボーッとしていて、俺の言葉が理解できてるのかも怪しい。
「おい、俺の言葉理解できたか?」
そう聞いても反応無し。
「しょーがないな」
俺は立ち上がって、向かいにいる夏樹に近づいていく。そして夏樹から体温計を奪い取り耳元で囁く。
「そんなにボーッとしてると、俺が体温計入れちゃうぞ」
最初のコメントを投稿しよう!