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「えーと……何やってるんですか」
俺が声のした方を向くと、男の店員さんがダンボールを持ったまま困惑しているように見える。
「あははは、何でもないですよ。ふざけてただけです」
俺は恥ずかしさのあまり、雪野の手を引っ張り窓際の席に急いで座った。
「武憲君て積極的なんだね」
何が積極的なんだ?
不思議に思いよく見ると、雪野の手をガッシリと掴み、密着しているではないか。
「ごめん」
俺は手を離して雪野の向かいに移動する。
「ううん、気にしてないよ」
雪野は笑っている。
良かったー。ブタ箱にぶちこまれずにすんだよ。
俺が安心して雪野を見ると、雪野が一点を凝視しているのに気付いた。
「どうした?」
俺がそう聞くと雪野は目で後ろを見ろ、と言っているように思える。
俺が後ろを見ると、ウェートレス姿の夏樹が呆然と立っていた。
「ぷっ」
そのマヌケな姿に俺は笑った。
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