ガラクタな風景

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何を隠す訳でもなく、昼下がりの公園で、 ベンチに腰掛け桜を見ていた。 単純に何もする事がなかった。 三年間続いた結婚生活も、うやむやの内に終わり、 愛していたかすら解らない相手に、莫大な慰謝料を請求された。 そして今日、 会社を辞めて、自分の退職金で慰謝料を精算した。 幸い子宝には恵まれなかったのと、 相手には新しい男性が居たのとで、 たいした罪悪感も無い。 ただ何もかも無くした、空っぽな自分の頭の上に、桜の花びらだけが優しく降り積もる。
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