ガラクタな家族

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ガラクタな家族

さびれた商店街の路地。 破れた制服を手で隠しながら、 ごみ捨て場の奥に息を殺して隠れていた。 時間がどれほど経ったのかすら解らなかった。 頭の中は極度の恐怖感と疲労感で真っ暗になっていた。 少女にとって今日は、 「短い人生の中で一番最低で一番最悪の日だった。」 少女は、真っ暗な意識の中で考えていた。 少女は、 母親の顔すら知らないのに。 考えてしまう。 想ってしまう。 『こんな時、母親が居てくれたら』 物心が付く前に、少女を捨てた母親。 蒸発した母親の方が。 父親『あいつ』よりは、遥かにマシだ。 少女は、父親の事が大嫌いだ。 父親は、まともに働いていないロクデナシだ。 父親は、いつもお酒を飲んでいて、 何かに付けては、自分に暴力を振るう。 部屋は、ゴミだらけで踏む所も無い。 父親に殴られ無い様に、 ひっそりと押し入れの中で、生きてきた少女。 毎日が悪夢の様だったが、 今日はさらに狂っていた。 父親は、待ていたのだ。 少女が帰って来るのを。 汚い下半身をむき出しにして。 「逃げられない現実。」 「気持ちが悪い。」 「吐き気が止まらない」 ただそこに至る、ケモノの様な父親。 少女を犯そうとしたケダモノ。 「死ねばいいと思う。」「いなく無くなれと願う。」 「涙が止まらない。」 泣きながら膝を抱え、殴られた腹部をさする。 「死にたいと思う。」 「生まれ落ちた事を後悔する。」 物心がついて何度となく訪れた絶望。 相澤 愛には、何一つ無かった。 優しい母親も。 頼れる父親も。 暖かい家庭も。 学校や教師は少女を助けてはくれない。 学校にいる同級生はいつもよそよそしい。 当たり前の物が何一つ無い少女には、いつも冷たい風が吹いていた。 ただ苦痛と 屈辱だけを傷痕の様に残した。 少女にとっての世の中はいつも孤独だけが全てだった。
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