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路地裏で膝を抱える少女には、
これで全てが無くなった。
物心がついて、保育園にすら入れない少女を周りの大人達は、ほって置く事が出来なかったが、
法令に縛られた優しさなど、
少女の現実には迷惑以外、何物でもなかった。
社会福祉だの。
児童福祉だの。
と寄ってたかって保護したがったが。
少女にとっての救いには成らなかった。
福祉関係の役人を、父親は全て許否したからだ。
少女は、役人が来た日に、必ず父親の暴力を受けた。
少女は想った。
「助けてくれないなら、ほっといてくれと!」
それでも、
昨日までは帰る場所があった。
ボロボロでも寝床と食べれる物があった。
少女は、抱えた膝に爪をたて傷口から流れる血液を、
ただ黙って見ていた。
頭の中では、さっき起きた悪夢が蘇る。
『私の何がいけないの?』
つぶやく唇から赤い血が流れ落ちた。
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