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木造モルタルアパート築30年の汚い部屋。
汚い万年床が敷いてあり、周りには、空っぽのペットボトルやカップめんの食べ残しが無造作に転がっていた。
相澤 徹は、ランニングシャツ一枚で下半身をしごいて至る。
衣装箱から娘の下着を取り出し、自身の顔にこすり臭いを嗅いでいる。
「愛、お前もか!お前も俺を捨てるのか!!」
呟く徹は、ケダモノだった。
彼、自身も幼い頃、両親を事故で無くした。
親戚をたらい回しに預けられた悲しい過去があった。
成人した彼は、無くした全てを取り戻す為に、死ぬ程働いた。
そこそこの役職を手に入れ、
見合いをして結婚もした。
順風満帆な生活、満たされた日々の中、娘の愛が誕生した。
徹は、さらに働いた。
頑張って稼いで、
もっと良い生活を求めた。
しかし、そのやり方には、一切家庭を帰り見る優しさがなかった。
世の中が不景気になり、会社は倒産。
妻は、家庭を帰り見ない徹に見切りを付けた。
愛を残し、若い男を作り蒸発した。
徹は、立ち直れなかった。
酒に溺れ、娘を虐待した。
役所のやっらが小難しい法律を盾に何度となく娘を奪いに来たが、
全て追い返した。
親としてでは無い、
鬱積した猜疑心と、妻への憎しみが全てだった。
自分一人残して、
幸せになる全てが許せなかった。
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