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「何よみんな、だらし無いわねー」
ワインの瓶やビールの缶に混じって、大の大人が数人、床に転がる。
ダイニングテーブルからそれをぐるりと眺めた律子が、自らの手で最後の一滴までグラスへ新たに注ぐ。
「ははっ」
「何がおかしいのよ?」
不甲斐無く伸びきった同胞へ毛布の類を順に掛けながら、眞木は苦笑いを浮かべた。
「だって、そんなハイペースで空けられたら誰だって敵わないでしょ」
独り言の様に呟いて、漸く眞木もダイニングへ腰掛ける。
煙草を口にした律子にさりげなくライターを寄越して、そのまま自分も火を点けた。
「私は奥さんに迷惑掛けない様、早く飲んでさっさと切り上げようと思ったのよ。それが次々とダウンされるんじゃ、一人で飲み逃げする訳に行かないじゃない」
「主任、それは酔っ払いの理屈ですって」
互いに燻らせた煙越しにもう一度室内を見渡して、ふと二人きりになっている事に律子が気付いた。
「眞木君、奥さんは?」
「具合が悪いって、先に休みました」
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