願い

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入口まで着いた時にはかなり息が上がっていた 薫ちゃんが扉を開ける それと同時に中から走ってきた森谷さんが外へ出て行った 何が起きたのか分からない私たち 私は治まってきた呼吸も無視して森谷さんの後ろを追い掛けていく 『待っ…て…!!』 私の後ろから淳が走ってきて森谷さんに追いついた 乱れる息も気にしている余裕はない 『ど…したの…?』 しかし森谷さんは目から涙が出る以外、口を開こうとはしない 『ここじゃ…あれだから場所変えよう?』 周りに人がいたからとりあえず生徒会室に連れて行くことにした 『はい』 私が飲み物を渡すと素直に受け取ってくれた ガチャ ドアが開き生徒会メンバーがみんな揃った 淳「で?何があった?」 『淳…』 言いづらそうな表情を見せながらもゆっくりと口を開いた 「…私の祖父が権力で私を選ばせたんです」 それって…出来レースだったってこと? 「ステージに出る直前に聞いてしまったんです “森谷さんでいいんだよな?” “しくじるなよ?何かあったら森谷元総理に潰されるぞ” “分かってる” …と」 その時だった 生徒会室に訪問者が… コンコン 私たちは顔を見合わせる 私が一番ドアに近い所にいたから出る 『はい』 ガチャ 『生徒会に何か用で……すか…?』 言う前に顔を見れば良かった… そこには森谷さんの祖父が立っていた 周りにはSPらしき人が数名取り囲んでいた 「森谷蘭子がここにいると聞いたんだが」 その声は低く威厳のあるものだった 『少々、お待ち下さい』 私は一旦ドアを開けたままみんながいる所へ向かった 薫「何だった?」 『森谷さんの…御祖父様が…』
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