願い

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きっとここにくる配達員は常連だからか一々案内はされないようだ 台車が静かな場所で止まった 誰もいない部屋 というか何年も使われていないのかホコリがひどい 拓「棗、出てきていいぞ」 そう言って拓弥は段ボールの上のガムテープを剥がして開けた 『…ここは?』 久しぶりに見る光に目が眩む 拓「さぁ?こっからは棗の出番 その段ボールの中」 私は今まで入っていた段ボールを覗く するとビニールに服らしきものが入っているのに気が付いた ビニールを開けるとそれはメイド服だった 『…なに……これ?』 拓「なにって見れば分かるだろ?メイド服だって」 まさかっ… 『私が着るの!?』 気を抜いて大きな声を出してしまった 拓弥はその瞬間私の口を手を押し付け塞ぐ 拓「俺に着ろって?」 『…っ』 『本当にバレない?』 拓「大丈夫だって うちにいるメイドの数は30人 こんな大きな屋敷ならうちの10倍はいるだろうな てことはだ 300人全員の顔なんて一々覚えてないし 入れ替えも激しそうだからそう簡単にはバレない」 『なるほど…』 って感心してる場合じゃなくて 『拓弥はどうするの?』 拓「俺はー…見つかんないようにここで待ってる! これ、この館の地図だ 早めに帰ってこいよ」 私は紙切れ一枚を渡されるとホコリまみれの部屋から出た
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