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――東條、待って。置いて行かないで―― ジリリリリリッ!! 「・・・・」
ジリリリリリッ!!
「・・・・」
ジリリッッ、ガチャ!
「繭!いい加減起きなさい!」
「うぅ、あと五分~」
「何言ってるの!学校遅刻するわよ!」
バタン!パタパタパタ・・・・。
「ん~、目ぇ覚めちゃったじゃん。せっかくいい夢見てたのにぃ。」
「繭、今日も遅刻ギリギリだったね。」
昼休み、中学からの親友の牧が言った。
「だって今日すごくいい夢見てたんだもん。あっ、卵焼きもらい~!」
「いい夢ねぇ。あんたらしいわ。」溜め息混じりで牧が言った。でも本当にいい夢だったんだよ。 ――夢の中。私は重力に逆らっていた。
『繭』誰かに名前を呼ばれ、声の方を向くとそこには小さな人影があった。
『早く降りて来いよ。置いてくぞ。』あっ、待って。置いて行かないで。
『東條、待って』――
何故かすごく暖かい気持ちになった。もっと見ていたかったな。
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