決められた夢

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夕方になる頃、やっと家路につく事ができた。途中、長谷部先生が職員室に戻ってきて今日もいるのかと呆れていた。 牧は・・・、やっぱり帰っていた。 (私がいいって言ったんだから当たり前か。) 自分のふがいなさを噛み締めながら家にたどり着いた。 「繭ー、ご飯よ。降りてきなさい。」 母が階下で呼んでいる。 「今日はいいや~。」 不思議と食欲がない。今日は予想以上にショックだったみたい・・・。 「あっそお?今日はせっかく繭の好きなグラタン作ったのに。」 「!」 「お母さん残念だわ~。じゃあ繭の分は片付けちゃうわね~。」 前言撤回。 「やっぱ食べるーー!」 私に食欲がない日はない! ご飯もお風呂も済ませて、二階の部屋に戻ってきた。ベッドの上に横になり色々考えてた。 そういえば、今日はあれから初めて夢を見たけど今の時間になっても何の異変もない。 (あの夢は違かったって事か。) 少しほっとした。私は『決められた夢』が東條さんの夢であって欲しいと願っていたから。
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