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突然目の前に現れた少女。この子も夢の産物なのか。でも私にはそう思えなかった。今は夢の中のはずなのに、この少女からは何か違う雰囲気を感じた。
『あなたは誰?』
『・・・・。』
『ねぇ、あなたの名前教えて?』
『私に名前はない。』
『え?だって、じゃあみんなにはなんて呼ばれてるの?』
『誰かとこうして話すのは初めて。』
『ええっ!?』
『私はここから出た事がないの。いくら歩いてもここは真っ白だから。』
『そうなの・・・。外、出たいよね。』
『どうかしら。外に行きたいと強く思った事はないの。ここは心地いいから。』
『そっかあ。』
ずっとここにいたら、外にいきたいなんて思わないものなのかな。
『繭。』
『は、はい!あれ?そういえば私の名前知ってるの?』
『うん。昔からあなたの名前だけは知ってたの。』
『何で?』
『わからない。私がわかるのはあなたの名前と、ここが真っ白っていう事。それと・・・』
『それと?』
『あなたに能力を授ける事。』
『能力?』
『うん。夢の中に入り込む能力。』
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