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今日はどれにしよう。
値踏みをするように、私はそれらを見つめた。
それらの表皮は水分を失い、干からびてひび割れさえもできている。
よし、これにしよう。
無造作に私はそれをとりあげて、とびらの向こうへと閉じ込めた。
傍らのスイッチを押すと、その中は赤く染まる。
耐熱ガラスごしに中の様子を伺うが、その熱気はこちらにも伝わってくる。
灼熱地獄と化した内部で、放り込まれたそれは身もだえし、ひび割れた表皮から中身が飛び出てくる。
私は薄笑いを浮かべながらその様子を見守る。
ピー。
ブザーが鳴り、私は扉を開いた。
「できあがり」
電子レンジでお餅が焼けるなんて、便利な世の中になった物だ。
私は取り出したお餅に醤油をかけ、おいしく食した。
終
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